ブログの運営方針について
本ブログでは「モニュメント」「パブリック・アート」「ランドマーク」等々、公共空間に設置された造形物を紹介・考察していきます。
「パブリック・アート」がその場所のシンボルになれば「ランドマーク」になり、その場所の記憶と結びついたのなら「モニュメント」と呼ばれるのでしょう。
この区別はかなり曖昧です。人によって解釈の幅はありますし、時と場合によって呼び方は使い分けが必要になるでしょう。
しかしながら、「モニュメント」の寿命は比較的長く、数百年ものあいだ変わらぬ姿で“そこ”に居続ける場合もあります。というより、恒久性があるからこそ「モニュメント」のモニュメンタリティー(=記念碑性)は担保されるのでしょう。
案外「モニュメント」は私たちの近くに居るものです。「モニュメント」を読み解くことはモニュメントが持つ記憶を辿る旅になります。
“なぜこんな場所にモニュメントが設置されているのか”
現在、タイトルや制作者の名前、制作年代が付記されていないモニュメントは沢山あります。時間が経つにつれて、文字の部分が風化したり、いたずらによってタイトル板が引っぺがされたり、モニュメント自体の説明部分はいつの間にか無くなってしまうこともあるのです。
タイトルや制作者の名前、制作年代などの説明が失われると、モニュメントの存在意義が不安定になります。その時代にタイトルなどを知っている人がいたとしても、その人の寿命はモニュメントほど長くはありません。
モニュメントは造形と記録の両面で恒久的に残らなければなりません。
モニュメントにはブロンズや石など耐久性のある素材が使われているので、天災や戦争などで失われない限り恒久的に残ることでしょう。しかし、記録的な面では常に危機に晒されているといっても過言ではありません。
モニュメントには制作者がいます。場合によっては制作プランの企画者がいます。設置場所の所有者がいます。それは数百年前の話で、現在の私たちには関係ないものだとも考えられます。
しかし、もし私がとあるモニュメントについての記述を残せば、その記述はそのモニュメントのモニュメンタリティーを高めるものになります。このようにモニュメントへの働きかけが繰り返されれば、そのモニュメントは長きに渡って忘れ去られずに残ってくれるでしょう。